

工学部長 両角光男
2008年11月20日から、里中忍副学部長、村山伸樹副学部長と共に、本学部の運営を担当することになりました。皆様のご支援を得て、本学部の教育力や研究力に磨きをかけ、地域や世界における存在感を一段と高めて行きたいと思います。どうかよろしくお願いたします。
さて本学部は、第五高等学校工学部として設立されて以来111年、3万数千人を超える卒業生が、産業界を中心に国内外で活躍してきました。現在は、大学院自然科学研究科の博士前期課程や後期課程と連携して学部教育を担当する7学科があり、250名におよぶ教職員と、総勢2500名を超す学生諸君が、キャンパスで研究や学習に励んでいます。
工学の使命は「ものづくり」、すなわち社会に役立ち人々を幸せにするモノやコトの構想とその実現です。安全性、健康性、快適性、利便性、経済性、さらには地域性や個性と美しさなど、社会の二―ズは拡がり、また我が国は経済危機にも何回か遭遇しましたが、技術者は常にその知恵と情熱によって技術革新を遂げ、国際的にも誇れる「日本のものづくり」を支えてきました。近年は地球環境への負荷低減や省資源化のニーズが高まっており、改めて、工学に求められる課題の大きさを感じます。また工学系の大学としては海外諸国との教育・研究協力も重要な任務です。
このような背景を踏まえ、本学部は、教職員学生が世界と活発に交流しながら、知恵と情熱で創造力を発揮するキャンパス、すなわち「世界に開かれた知恵と情熱の創造力キャンパス」の実現を目標に、3つの課題を実践しています。
(1) 世界に通用する創造力豊かな技術者やデザイナーの育成
(2) 社会を牽引し、世界にきらめく多彩な研究拠点の形成
(3) キャンパスを拠点に世界と結ぶ教育研究交流の促進
さあ、大学院自然科学研究科と連携して、世界水準の教育と国際的に卓越した研究を実践している、この工学部キャンパスから、世界を目指そうではありませんか。
(1) 世界に通用する創造力豊かな技術者やデザイナーの育成
これまで工学部の各学科は、教育内容や実施体制整備に取り組み、それぞれ日本技術者教育認定機構(JABEE)、あるいは国際標準化機構(環境ISO14001:環境教育)から、国際水準の教育を実施しているとの認定を受けました(新設学科は受審準備中)。2006年にはこれらの実績により、工学部は日本工学教育協会賞を受賞しました。また2005年度からは、文部科学省の教育改革事業採択を受けて、体感型実験実習科目や課題解決型演習科目の開発、さには「学生創発ものづくりコンテスト」の実施など、ものづくりの先駆的教育プログラムを開発し、実践してきました。
学生諸君が情熱を傾け創造力を磨く場はさらに多様です。2008年10月には工学部学生会が、学科を越えた学生教職員交流の場を作りたいと、9年ぶりに工学部運動会を復活させました。研究室の活動を市民に紹介する11月の恒例行事、夢科学探検も、学生諸君の工夫を凝らした展示が人気を集めています。
今後も、教育プログラムの拡充に取り組むのはもとより、学生諸君が情熱を傾け、創造力を発揮できる機会創出に努めます。
(2) 社会を牽引し、世界にきらめく多彩な研究拠点の形成
教育力と社会貢献の充実には、教員の優れた研究蓄積が必須です。工学部では「衝撃エネルギー工学グローバル先導拠点プロジェクト」や、「次世代マグネシウム合金の開発と実用化研究プロジェクト」などが、国の先端研究プロジェクトとして採択され、成果を積んできました。
近年、工学が取り組むべき課題は、対象が拡大・複雑化しており、学際的な取り組みや、国境を超え、あるいは社会と直結した協働作業など、研究の連携融合が不可欠になりました。また夢の実現につながる未来技術の基礎研究や、地域に密着してその課題解決に取り組む研究なども欠かせません。
今後も、外部資金導入や国内外の企業や研究機関との連携交流拡大に努め、新たな研究拠点形成や次代を担う研究者育成など、教員や学生が研究に情熱を注げる環境づくりを進めます。
(3) キャンパスを拠点に世界と結ぶ教育研究交流の促進
アジア諸国を訪れると、日本の大学に対する熱い視線を感じます。また欧米人が、日本の伝統文化や技術風土に注目しているのも事実です。教員の海外における学術交流促進はもとよりですが、今後は、学生が海外に出て交流する機会や、海外の優れた研究者や学生が本学部に滞在し、活動する機会を更に増やして行きたいと思います。
先ずは、23カ国に亘る交流協定大学などと共同して、学生の短期海外研修プログラムや、海外の工学部学生や若手研究者が、熊本で日本の技術や文化を学ぶプログラムなどを充実し、キャンパスの国際化と工学部の国際的プレゼンス向上を図ります。